チワワにはレアカラーと呼ばれ、遺伝的に病的な毛色の子がいます。他ではあまり見る事の無い毛色なので、つい迎えたくなってしまいますが注意が必要です。
既にチワワと暮らしている方も、これからチワワを迎える予定の人も、一度は目を通しておいてください。
目次
- 1 チワワに多い病気の特徴と症状
- 1.1 チワワに多い膝蓋骨脱臼(パテラ)の特徴と症状
- 1.2 チワワに多いレッグ・ペルテス病(レッグ・パーセス病)の特徴と症状
- 1.3 チワワに多いシスチン尿石症(尿路結石)の特徴と症状
- 1.4 チワワに多いカラーミュータント脱毛症(淡色被毛脱毛症)の特徴と症状
- 1.5 チワワに多い潰瘍(かいよう)性角膜炎の特徴と症状
- 1.6 チワワに多い角膜ジストロフィー(角膜変性症)の特徴と症状
- 1.7 チワワに多い停留睾丸(潜在精巣・停留精巣)の特徴と症状
- 1.8 チワワに多い水頭症の特徴と症状
- 1.9 チワワに多い泉門開存症(ペコ)の特徴と症状
- 1.10 チワワに多い気管虚脱の特徴と症状
- 1.11 チワワに多い僧帽弁閉鎖不全症の特徴と症状
- 1.12 チワワに多い結膜炎の特徴と症状
- 1.13 チワワに多い低血糖症の特徴と症状
- 1.14 チワワに多い虫歯(歯周病)の特徴と症状
- 1.15 チワワに多い椎間板ヘルニアの特徴と症状
- 1.16 チワワに多いパターン脱毛症状の特徴と症状
- 1.17 チワワに多いピルビン酸キナーゼ欠乏症の特徴と症状
- 2 【画像付き】チワワで病気になり易いレアカラーとは?
- 3 参考資料
チワワに多い病気の特徴と症状
ここではチワワがかかり易い病気の特徴と症状を、まとめてご紹介しています。基本的に放っておいて良くなる病気はないので、症状が見られたら病院で検査を受けさせてあげましょう。
チワワに多い膝蓋骨脱臼(パテラ)の特徴と症状
膝の関節疾患で、チワワ以外にもポメラニアンやヨーキーなど、小型犬に多いとされる病気です。チワワにおける膝蓋骨脱臼(パテラ)の発症率は、雑種と比べて4.9%高いという調査結果があります。
また、オスと比べるとメスの方が1.3倍高く、避妊手術をした子はしていない子の2.4倍高いことも分かっています。その他に体重や年齢も原因と考えられていますが、チワワを飼うのであればパテラは避けて通れない病気と考えて良いでしょう。
- 歩行時に足をひきずる
- 足を触ると嫌がる
- 膝関節の変形
- 足の腫れ
- O脚やその逆
チワワに多いレッグ・ペルテス病(レッグ・パーセス病)の特徴と症状
原因は不明ですが、太ももと股関節の付け根部分(大腿骨頭)が血行不良により壊死してしまう病気です。チワワのような体重が10㎏以下で生後1歳未満(6~7カ月が多い)に発症します。片足が多いですが、両足に起こることもあります。
血行不良が原因なのは分かっていますが、なぜ血行不良が起こるのかが分かっていません。なので予防が難しい病気です。また、病気の進行を止めることはできないので、最終的には外科手術とリハビリが必要になります。
- 足をひきずる
- (痛みから)足をかばうように生活する
- 足を触ると嫌がる
チワワに多いシスチン尿石症(尿路結石)の特徴と症状
腎臓から尿管ー膀胱ー尿道を尿路といい、ここのどこかに結石ができることを尿路結石と言います。チワワの場合、遺伝的に腎臓と膀胱をつなぐ尿管に異常を起こし易く、結果としてシスチン尿結石を起こし易いことが分かっています。
尿石ができる場所や大きさによって無症状の場合もあります。以下の症状が見られたら、早めに検査を受けて治療を受けましょう。
- おしっこがにごる・濃い
- 血尿(紅茶のように色が付く)
- おしっこの回数が増える
- 食欲不振
- 下痢
- 嘔吐
- ぐったりする
- 水をよく飲む
チワワに多いカラーミュータント脱毛症(淡色被毛脱毛症)の特徴と症状
首から上の毛が折れる・薄くなる・脱毛といった症状が見られる病気です。炎症などはなく、毛の色が薄い部分に症状が出ます。ブルーやイザベラなどのレアカラーに多い為、遺伝が原因と考えられています。
命に係わる病気ではありませんが、脱毛が起きやすいので繁殖を拒否されたり、容姿が悪くなります。
- 被毛が折れる・薄くなる・脱毛
チワワに多い潰瘍(かいよう)性角膜炎の特徴と症状
角膜の表面に傷や欠損が見られる炎症です。チワワにおいては特別多い訳ではありませんが、「雑種と比べて2.54倍好発する」とした調査結果があります。目の慢性的な刺激が原因で起きます。
特にチワワは目が大きいので、異物の混入などに注意が必要です。痛みや視力の低下から次のような症状が出ます。症状を確認したら早めに検査を受けましょう。
- 足を使って目をこすろうとする
- 壁や床に目をこすろうとする
- まばたきや涙が増える
チワワに多い角膜ジストロフィー(角膜変性症)の特徴と症状
チワワは角膜ジストロフィーを後発します。黒目の部分に白く濁ったような部分ができる病気です。原因は分かっておらず、遺伝が関係していると考えられています。これといった予防法や治療法がありません。
完全に失明することはありません。基本的には痛みもないので治療は点眼薬などですが、水疱ができて破裂すると痛みを伴うので、手術をします。ただ、再発率が高く完治が難しい病気です。
- 黒目に白いにごりが出てくる
- 少しずつ視力が低下(失明はしない)
チワワに多い停留睾丸(潜在精巣・停留精巣)の特徴と症状
睾丸が本来あるべき場所になく、その付近にとどまっている状態のことをさす病気です。原因は分かっていません。チワワに特別多い訳ではありませんが、小型犬種に多いのでチワワも注意が必要な病気です。
停留睾丸の子は、去勢をしていないオスと比べて、約10倍も精巣腫瘍(ガン)のリスクが高まると言われています。ペットショップやブリーダーから迎える場合は、事前に説明がありますが、友人から迎える場合は注意が必要です。
- 腹痛
- 精巣腫瘍のリスクが高まる
- 繁殖能力の低下
チワワに多い水頭症の特徴と症状
チワワを筆頭に小型でマズルの短い犬種に多い病気です。脳内の水分調節がうまくいかずに、脳を圧迫し生涯を引き起こす病気です。多くは生後半年までに以下で紹介する症状を起こします。
脳腫瘍などの後天的な原因もありますが、チワワの場合は遺伝的に多く、予防ができません。根治が難しい病気で、ペットショップやブリーダーなら事前に説明があるはずです。友人から譲り受ける際は注意が必要な病気です。
- 頭が不自然に膨らむ
- 頭のてっぺんに骨がなくペコペコする
- 斜視(目の向きが異なる)
- 寝る時間が多い
- 食欲がない
- 元気がない
- 視力が悪く物にぶつかる
チワワに多い泉門開存症(ペコ)の特徴と症状
頭蓋骨のてっぺんがくっつかない病気です。通常、成長するにつれて生後4カ月程度で閉じていくんですが、チワワはほとんどがくっつかないと言われています。ただ、小さければ健康上の問題はありません。
穴が大きすぎると水頭症になり易かったり、病弱だったり、頭への衝撃が命取りになったりします。チワワの場合、子犬の時に泉門が閉じていなくても病気とは診断されません。その為、とくに症状などはありません。
泉門が大きいとふさがり難いと言われています。触ってみればある程度の大きさは分かりますが、素人が力加減を知らずに触るのは危険です。ショップ店員やブリーダーに泉門の大きさはどれくらいか確認するようにしましょう。
チワワに多い気管虚脱の特徴と症状
のどと肺をつなぐ気管がつぶれてしまい、上手く呼吸できなくなる病気です。チワワなどの小型犬に多いとされ、「筋力の低下」や「遺伝的に軟骨が弱い」などが原因として考えられています。
肥満も気管虚脱のリスクを高める原因なので、BCS(ボディ・コンディション・スコア)を元に、できるだけチワワを太らせないように気を着けましょう。
- ヒューヒュー・ゼェゼェと苦しそうな呼吸
- 激しい運動や興奮時に激しく咳をする
- (酸欠によって)口の粘膜が青白くなる
- よだれを垂らす
チワワに多い僧帽弁閉鎖不全症の特徴と症状
心臓にある僧帽弁と呼ばれる弁に異常があり、加齢とともに少しずつ心肥大などを起こす病気です。小型犬種のオスに多く、10~12歳頃が好発期とされています。先天性の奇形なので、予防する方法はありません。
肥満や高血圧は心臓の負担となる反面、運動も負担となるのでフードによる体重コントロールが大切です。これと言った症状はありませんが、定期健診を受けながら次の症状が見られたら早めに受診しましょう。
- チアノーゼ(口の粘膜が青白くなる)
- 夜間のひどい咳
チワワに多い結膜炎の特徴と症状
白目(結膜)に炎症が起きる病気です。犬は黒目が大きいので瞼を上下に広げると白目が見えます。日ごろからチェックしてあげましょう。原因は「異物の混入」や「ウィルス感染」・「ドライアイ」など様々です。
チワワは特に目が大きい分、結膜炎を含む眼病にかかり易い犬種と言えます。中には失明のリスクがある病気が原因となって結膜炎を起こしている可能性もあります。次の症状が見られたら早めに受診しましょう。
- 涙の量が増える
- 白目部分の充血
- まばたきが増える
- 目やにが増える
- 目を足でこすろうとする
- 目を床や壁にこすろうとする
チワワに多い低血糖症の特徴と症状
血糖値が下がり、それに伴い症状が出る病気です。子犬に多く、空腹や興奮、過度の運動などでチワワも起こし易い病気です。なんとなく糖尿病のイメージがあるかもしれませんが、糖尿病ではないチワワでも起きます。
特に子犬の間は注意が必要です。チワワは一度に食いだめできる量が限られているので、小まめにご飯を与えましょう。もし朝起きてグッタリしているようなら、ガムシロップを口の粘膜に塗って急いで病院に連れていきましょう。
- 下半身に力が入らなくなる
- ぐったりする
- けいれん
- 失神
チワワに多い虫歯(歯周病)の特徴と症状
チワワなどの小型犬やマズルが短い犬種では虫歯になる子が多いです。犬の場合、「虫歯」よりも「歯周病」が一般的です。犬はドッグフードをあまり咀嚼しないので、抜歯しても問題はありませんが、小さい内から歯磨きを週間付けたいところです。
歳を重ねるごとに歯周病の発症率が上がり、6~7歳で2%、10歳で3.2%が歯周病を発症しているというデータがあります。また、全体の76.3%は歯周病予備軍というデータもあります。(詳しくは最下部の参考資料をご覧ください)
- 息が臭い(腐敗臭)
- 歯の偏食
- 歯に穴があいく
- 食べるのが遅い
- 大量のよだれ
- 毛づくろいした箇所が臭い
- 歯茎の腫れ
チワワに多い椎間板ヘルニアの特徴と症状
太ったチワワはヘルニアも注意が必要です。ダックスと比べれば発症率は低いですが、小型種のチワワはヘルニアのリスクがあります。肥満は気管虚脱のリスクもあげるので体型維持を心がけましょう。
- 元気がない
- 運動や散歩を嫌がる
- 歩き方がおかしい
- 立ったり座ったりに時間がかかる
- 段さを嫌う
- 足をひきずるように歩く
チワワに多いパターン脱毛症状の特徴と症状
原因不明の脱毛症で、食い日から上やお腹に脱毛症状が出ます。炎症などはなく、症状も脱毛だけなので必ずしも治療が必要という訳ではありません。メラトニンというホルモン剤を投与してキレイに毛が生えそろった症例があります。
- 炎症などがない脱毛
チワワに多いピルビン酸キナーゼ欠乏症の特徴と症状
遺伝的に赤血球が必要とする酵素(ピルビン酸キナーゼ)に異常があり、赤血球が短命になります。これが原因で貧血を起こし易くなる病気です。酸素を運ぶ赤血球に異常が起こることで、全身が酸欠状態に陥ります。
次のような症状が見られる場合、早めに受診しましょう。ネギ類を誤食した場合も同じような状況に陥るので、十分注意しましょう。
- ぐったりする
- 元気がない・疲れやすい
- 散歩や運動を嫌がる
- 食欲がない
- 血尿のようなおしっこが出る
- 黄疸
- 口の粘膜が青白くなる
- 呼吸困難
- 正常時の呼吸が早い
【画像付き】チワワで病気になり易いレアカラーとは?
チワワのレアカラーにはいくつか種類があります。共通して言えるのは、「病弱」であったり、「脱毛」や「薄毛」などに悩まされる子が多い傾向にあります。その為、JKCでは2011年4月からマール色をスタンダードから外しました。
血統書は出ますが、毛色の項目に「×」が付きます。上記の理由から、まっとうなブリーダーはマールカラーを作出しようとしませんし、交配もしません。
ブルーマール・レッドマール
ブルーマールはチワワの血統上ではNG色です。説明が難しいんですが、上記のシェルティのように、ブルーやシルバー薄いベースの中に濃い色がマーブル状に混ざったカラーのことを指します。同様に茶系(チョコ)で濃淡が混ざったレッドマールもNG色となります。
このような色は「マール因子」という色素を抑制する遺伝子が原因で起こります。マール因子は毛色だけでなく、目や耳・心臓などにも働く為、病弱な子になるリスクが高まるのでNG色となっています。
イザベラ
イザベラは茶(チョコ)系の色が薄まった毛色のことを指します。イメージとしては上記画像の右側の子です。こちらはマールとは違い「ダイリューション」という遺伝子が原因で起こります。カラーミュータント脱毛症の原因と考えられています。
ブルー(グレー)系
ブルーはブラックを薄めた「薄い青」とも「グレー」ともいえるような色を指します。イザベラ同様に「ダイリューション」という遺伝子が原因で、カラーミュータント脱毛症の原因と考えられています。
あまり良い画像を準備できなかったんですが、もう少し黒っぽくて「黒が抜けたような色」をブルーと言います。
参考資料
- The epidemiology of patellar luxation in dogs attending primary-care veterinary practices in England
- Corneal ulcerative disease in dogs under primary veterinary care in England: epidemiology and clinical management
- アニコム損保「犬の歯周病に関する調査(2010.5.28)」
- AKC Canine Health Foundation
- Canine Cancer.com
- Embrace Insurance ”Pet Medical Conditions“
上記は記事作成にあたり参考にしたサイトのまとめです。チワワに限らず、純血種は雑種と比べれば特定の遺伝疾患を起こし易いです。
チワワのように極端に小さい犬種は、関節疾患などが多いので肥満には十分な配慮が必要です。レアカラーについては、事前にリスクを理解した上で迎えるようにしましょう。