ここではペットショップには出てこないような柴犬もご紹介します。また、尻尾や色の種類についてもご紹介します。
目次
【3つ以上知っていれば柴犬マニア?】柴犬の種類
柴犬の系統は大きく分けて、信州柴・山陰柴・美濃柴の3種類がいたと考えられています。戦争(群の毛皮の為)や戦後のジステンパー流行などで、柴犬を含む多くの犬が命を落としました。
3種類いた柴犬の系統も、これらが原因となり数が激減しました。柴犬を後世に残すことを目的に各地に残った柴犬を集め、交配が進められました。絶滅を待逃れたものの、各種で持っていた特徴が薄まってしまいました。
その為、JKC(ジャパンケネルクラブ)や日本犬保存会で現在登録されている柴犬は1種類だけです。ですが、現在でも山陰柴や美濃柴などの保存会があり、特徴をもった柴犬を後世に残そうと努力しています。
ここでは、上記の理由から忘れられつつある種類も含めて、全部で5種類の柴犬をご紹介します。「柴犬」と「豆柴」意外はペットショップに並ぶことはなく、保存会などから里親の応募が可能なだけです。
信州柴犬(甲信越地方)
ペットショップなどで「柴犬」として販売されていたり、「柴犬」として広く知られているのは信州柴がベースと言われています。柴犬は中型の「紀州犬・四国犬・北海道犬・甲斐犬」、大型の「秋田犬」など、日本犬の中で最も小型の犬種です。
JKCと日本犬保存会の「柴犬」の基準
基準 | JKC | 日本犬保存会 |
---|---|---|
サイズ |
それぞれ上下1.5㎝まで許容範囲 |
|
体重 | なし | オス:9~11kg
メス:7~9㎏ |
毛色 |
どの色も「裏白」が条件 |
|
上記はJKCと日本犬保存会で使われている「柴犬の基準」です。上記は「柴犬」という犬種を後世に残すのが目的になっています。上記の基準から外れたからといって柴犬ではないということではありません。
ショーや展示会に出るのであれば必要な条件ですが、一般家庭で柴犬を飼うのであれば気にする必要はありません。
山陰柴犬(中国地方)
日本犬というとクルっと巻いた尾を想像する方が多いですが、山陰柴は尾を巻かない子が多い柴犬です。山陰柴犬育成会によると毛色は赤のみで、ごくまれに淡赤(うすあか)と呼ばれる色が生まれます。
柴犬の顔でよく例えられる「キツネ顔とタヌキ顔」でいくと、キツネ顔の子が多いようです。落ち着いた性格の子が多く、一般的な柴犬と比較すると無駄吠えが少ないと言われています。
美濃柴犬(中部地方)
全身が緋赤と呼ばれる赤毛で、私達が良く知る柴犬の赤毛とは異なるのが一目で分かります。大きさ的にも柴犬と同じくらいで「体高40㎝程度」・「体重10㎏程度」になります。
特徴的な毛の色以外、顔の印象などは柴犬と似ているようにも見えます。ネット上には美濃柴を販売しているブリーダーもいましたが、値段は書かれていませんでした。一般社団法人美濃柴犬保存会から里親の応募ができます。
縄文柴犬(関東を中心に全国していた)
関東を中心に全国から出土している縄文犬は、巻き尾や40㎝程度の体高など、柴犬の系統であったと考えられています。遺跡から見つかった骨を元に、現在の柴犬の中から縄文犬の特徴を持った犬を選択し、交配・再現した犬種です。
全体的な見た目はキツネに近く、「額段が広く浅い」・「スラっと伸びる四肢」などの特徴があります。「NPO法人 縄文柴犬研究センター」から里親の申込が可能です。
豆柴(小豆柴)
柴犬の基準を下回って小さい個体を豆柴、更に小さい個体を小豆柴と呼んだりしています。ネット上には「豆柴は体高30~34㎝、体重4~6㎏」、「小豆柴は体高25~27㎝,体重3~5㎏」といった基準を見かけます。
ですが、JKCや日本犬保存会には犬種として登録されていない為、このような基準はありません。商売目的のブリーダーやペットショップが勝手につくった基準です。突然変異で小さな個体を繁殖に使ったり、成長期に絶食させて小型化する悪質ブリーダーもいます。
小さな柴犬同士を掛け合わせることで、生まれてくる子犬も小型化を狙う訳です。当然、成犬時には普通の柴犬サイズになってしまう子も出てきます。また、中には病弱な子もいます。
極端な小型化は、骨や関節の病気、難産などを引き起こすことが分かっています。実際、「豆柴として迎えたのに大きくなり過ぎた」・「関節の病気で痛そう・お金がかかる」などの理由で飼育放棄される子が一定数います。
大きさの保証を付けているブリーダーもいますが、大きくなったら子犬購入時の生体代を受け取って、その後も飼えますか?もし自信が無いなら、犬を飼うこと自体を考え直してください。
【あなたの愛犬はどのタイプ?】柴犬の尻尾の全15種類
柴犬には巻き尾で6種類、山陰柴に多い差し尾(巻かないタイプ)で6種類、その他にスタンダードとしては認められていませんが、3種類のタイプがあります。上記の絵を元にそれぞれのタイプを紹介していきます。
左巻・右巻・左二重巻・右二重巻
柴犬で良くみる巻き尾には、左右・巻きの強さによって4種類に分けられます。尻尾の先が付け根までキレイに巻いていれば二十巻きになります。
車巻(くるままき)・半巻(はんまき)
巻き尾が左右に寄らず、背中の上でキレイに1週巻いたものを「車巻」と言います。同じく、左右に寄らずに背中の上で巻いていて、尻尾の先が体から離れているものを「半巻」と言います。
差尾(さしお)・背叩き(せたたき)
尾の先が頭の方を向き、半円になりきれていないのが「差尾」です。差尾で尾の先が体に付いた状態を「背叩き」または「半指尾」ともいいいます。ここまでは柴犬のスタンダードとしても認められています。
太刀尾(たちお)・薙刀尾(なぎなたお)
山陰柴犬に多いとされるタイプです。尾の先がまっすぐ上を向いているものを「太刀尾」。体の延長線上からゆるく上を向いたものを「薙刀尾」と言います。
柳尾(やなぎお)・牛蒡尾(ごぼうお)
薙刀尾からさらに角度が下に下がっていて、かつ尾の先に向かってやや弓形のものを「柳尾」と言います。体の延長線上に細くまっすぐ伸びたものを「牛蒡尾」と言います。
茶筅尾(ちゃせんお)・株尾(かぶお)・無尾(むび)
柴犬のスタンダードとしては認められていませんが、茶筅のように短く先太りしたものを「茶筅尾」と言います。先が丸まったものを「株尾」、極端に短い尻尾を「無尾」と言います。
柴犬の色の種類は?
毛色の種類 | イメージ |
---|---|
赤(共通) | |
黒褐色(JKC)・黒(日本犬保存) | |
赤胡麻(JKC) | |
黒胡麻(JKC) | |
白(日本犬保存会) |
柴犬の毛色はJKCでは「赤・黒褐色・赤胡麻・黒胡麻・胡麻」の5種類です。また、全ての色に共通して、裏白(両頬・お腹・四肢の内側などが白い)を条件としています。日本犬保存会では少しシンプルで「赤・黒・胡麻・白」の4種類としています。
「胡麻」色はベースの色に黒の毛が混じったものを言います。JKCの「胡麻」は赤胡麻と黒胡麻の中間を指しますが、日本犬保存会の「胡麻」は全ての胡麻色を含みます。
まとめ
ここでは柴犬の犬種としての種類だけでなく、柴犬の尻尾の形や色の種類についてもまとめました。
柴犬の種類は沢山ありますが、JKCや日本犬保存会などでは認められていない種類もあります。特定の柴犬は保存会などを通じて里親の応募ができます。
数少ない種類の柴犬を、後世に残すという意味でも里親になってみてはいかがでしょうか。